題名だけ読むと、ギャンブルコメディ系?とも思えますが、
実は、クリントイーストウッド監督・主演のボクシング映画。
しかも、主役は男性ではなく女性。
女性ボクサーの話かぁ…マニアックなところついてくるなぁと思いつつ、クリントイーストウッドはダーティハリーの頃から好きなので、鑑賞してみることにしました。
女性のボクシングに、プロがあることさえ知らなかったので、違和感を覚えつつ見ていると、これがなかなか面白く、クリントイーストウッド扮する名コーチ「ダン」が、選手の才能を開花させていく過程は、ボクシング映画によくある流れではあるものの、やはり見入ってしまうものでした。
話の流れと題名から推測して、名もなきボクサーの才能が開花して、栄光をつかむ的な感じだろうと思っていました。
しかし、クライマックスになるであろうタイトルマッチの試合が始まった時、映画は全体のまだ半分ほどしか進行していないのに気づきました。
そう、この映画の醍醐味は、後半の部分にあったのです。
あまり書いてしまうと、ネタバレになってしまうので、ここでやめておこうと思うのですが、ダンは終始、何かに許しを求めるような感じで、見ているものが気になってしまい、徐々にストーリーに深く入っていってしまう手法は、本当に上手いなぁと感じました。
これは私の感じたことですが、ダンは自分が他人の人生に関わることで、その人の人生が変わってしまうことを、極度に恐れているような気がしました。

この映画のレビューの中に、「救いがなさ過ぎて悲しすぎる」ということを書いている方がいました。
私の場合は、女性ボクサーを演じたヒラリースワンク扮する「マギー」の最後の笑顔は、救いだったような気がします。
結局のところ、人の幸不幸は、その人自身にしか分からないし、結論を下すのはその人自身しかできないこと…
それと、話を進行していく語りと、要所要所で絶妙なポイントをおさえていく人物として登場するモーガンフリーマン。
この映画の雰囲気を作り出す、重要な役割をさりげなく担っているところは、彼の演技力と、ここに配置するイーストウッドの手腕は、さすがだなぁと感じます。
しみじみとした余韻を残し、いろいろ考えさせてくれる名作です。
日々の多忙さに、ちょっと疲れてしまって、何もやる気がでないなぁ…というときに、静かな部屋で、一人で鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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